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第7回構造コラム:「勾配用オメガメタルブレース」から考える構造力学

本コラムでは、専門的な知識をより分かりやすく解説し、業務に役立つ情報を提供できればと考えております。

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●勾配用オメガメタルブレースとは?

 

勾配用オメガメタルブレースは、水平構面の床倍率及び勾配のある屋根構面の屋根倍率を確保できる木造用の鋼製ブレースです。

0寸から10寸まで対応可能で、勾配に合わせた床倍率(屋根倍率)を「倍率一覧表」から簡単に算出できます。

ビスのみで既存の軸組に取り付けできるため、リフォームにも適しています。

 

 <適用範囲>

 ・横架材間隔:0.9m~3.0m(構面形状比1:1~1:2)
 ・断面寸法  :105mm×105mm以上
 ・横架材樹種:スギ製材(無等級)以上

 ※詳細は「勾配用オメガメタルブレース設計技術マニュアル」を参照ください

 

 

      

 

 ~火打ち梁がつけられない勾配天井でも水平剛性を確保しながら明るく開放的な空間を実現~

 

 

●水平構面とは?

 

床組や小屋組のように、建物に水平に配置される構造要素のことを「水平構面」といいます。
水平構面には、地震力や風圧力などの水平力を耐力壁に伝達する役割があります。

 

壁量計算は、水平力が各耐力壁に均等に配分されることを前提条件としており、その前提を満たしていなければ、

壁量は十分に足りていても建物は部分的に損傷を受ける恐れがあります。

これを防ぐには、床組、小屋組の水平剛性と耐力壁の剛性・配置を関連付けて設計する必要があります。

 

 

<建物に水平力が作用したときの床面の変形>

※引用「木造軸組工法住宅の許容応力度設計2025年版」

 

 

●小屋組の床倍率

 

水平構面は「床構面」「屋根構面」「火打構面」の3種に大別できます。

小屋組の床倍率は、屋根の剛性を水平構面に置き換えて考えるため、小屋梁のレベルに設けた火打ち梁の床倍率と、

勾配屋根の床倍率(屋根倍率)は加算することができます。

プラン上、小屋組レベルを吹抜けにして火打ち梁が入れられない場合に、勾配用オメガメタルブレースを屋根面に設けることで、

床倍率(屋根倍率)を向上することができます。

また、同シリーズの「オメガメタルブレース<水平用>」は小屋組に配置する水平ブレースで、意匠性にも優れているため

火打ち梁よりも高い床倍率を確保しながら現しで使用することが可能です。

 

 

     

 

 

●水平剛性とは?

 

「水平剛性」とは、水平構面の面内せん断剛性(強さ、かたさ)のことをいいます。

品確法では、耐力壁における壁倍率と同様に「床倍率」という概念でその特性を表しており、水平剛性を高めるには、

火打ち梁、剛床、根太床など、各構面ごとに定められた仕様を遵守した施工が必須です。

壁倍率が高く、構面間隔も長い場合は、伝達すべき水平力も大きくなるため床面の水平剛性を高くする必要があります。

 

   

 

 

●床倍率1倍の定義

 

床倍率1倍とは、床の長さ1mあたり1.96kNの耐力を有する床のことです。

床倍率の高い水平構面は水平方向に変形しにくく、大きな水平力を耐力壁に伝達できます。

 

品確法の床倍率に1.96を乗じることで、構造計算における短期許容せん断耐力相当を算出できますが、

「木造軸組工法住宅の許容応力度設計2025年版(通称:グレー本)」で運用される耐力値は実験を行って算出された値のため、

品確法の数値とは異なる部分があります。

 

長さ1mの床に水平力1.96kN(200kg)が作用したとき、変形角がh/150[rad]

 

 

●建築基準法と品確法

 

建築基準法には水平構面を具体的に示した内容は記載されていませんが、壁量計算の前提条件、並びに品確法・許容応力度計算で

取り入れられている検定項目であるため、2025年の法改正に伴って発刊された「確認申請・審査マニュアル」では、構造安全性の

配慮事項として、設計上の配慮を行うことが望ましいとされています。